2021年4月
今回は、何だか気持ち良く人と繋がる事や、触れ合う事が出来難い今だからこそ、
あなたが無理をしたり、嘘をついたりするのではなく、
何気無く素直に心から相手にしてあげられる御布施の話です。
御布施というと、お坊さんにお渡しする御礼のお金がすぐに浮かびますが、
そうではなく、仮令お金が無くても誰にでも出来る“無財の七施”です。
ーーー無財の七施ーーー
一、眼施・・・冷たい眼差しとか、眼が笑っていないとか言いますが、
“目は口ほどに物を言う”と言われる様に、マスクを付けても目だけは見えています。
だから優しい慈しみの眼差し。
二、和顔施・・・仏頂面や怒った顔ではなく、穏やかでにこやかな笑顔。
三、愛語施・・・言葉の表現の仕方を柔らかく、同じ事を伝えるのにでも、
言葉一つの選び方で違って来ます。言葉一つで角が立ち、言葉一つで丸くなる。
おべんちゃらではなく、相手が嬉しいだろうなと思える言葉をかける、又は渡す。
四、身施・・・大きく捉えれば、身体で出来る施しという事ですから、
各臓器ドナーを指すのかもしれませんが、それだけではなく、
今はヘアドネイションと言って髪の毛を提供するのもあります。
又、ボランティアで体力・労力を使って、被災地とかでお手伝いをする。
又は各施設への慰問・訪問というのもあります。
小さい事で言えば、親や家族の力になる。友達を助けるのもそうですよ。
五、心施(心慮施)・・・相手の気持ちを慮って、心を寄り添わせる。
思いやりの気持ちで接する。人の悩みを聞いてあげるのもそうです。
只、聞いてもらえるだけでも心が軽くなる事もありますから。
六、床座施・・・読んで字が如く、バスや電車で大変そうだなと思う人に、
席を譲るという事ですが、自己中な損得感情を離れて、
自分の優先的な権利や立ち位置をどうぞと相手に譲る。
(勿論、時と場合と条件に依りますが)
七、房捨施・・・雨が降れば相手に傘を差しかける。
親切心から軒先貸して母屋取られえるなんて物騒な諺もありますが、
そうではなく、疲れているであろう相手にちょっと休んでいったらどうですかと
場を提供する気持ち。これは“喫茶去”という言葉にも繋がります。
ちょっとお茶でも飲んで一服して行きやという気持ちです。
これら七つの施しは子供にでも分かる簡単な人の心に基づいています。
相手が喜ぶ、又は嬉しいであろう気持ちや言葉や行動をあなたが渡すという事です。
そうすると、必ずあなたも嬉しく良い気分になる筈です。
結局自分に返って来る事なんですよね。
こんなギスギスとした世の中であるからこそ、
目には見えないこんな小さな優しさの積み重ねが、
人の繋がりをしなやかに滑らかにして行くんだと思いますよ。