2023年9月
悪意とは、自分が得をする訳ではなく、相手が得をしない様に邪魔をする事
なんだという説があり、ある実験をした。
10ドルを二人で分ける。ジャンケンで勝った方が取り分を決め、
もう一人がそれをのめば貰える。そうでなければ二人とも何も貰えない。
10対0は、当然なし。何もせずにお金を貰えるのだから、
どんな割合でも受け入れるのが合理的であるにも関わらず、
2ドル以下の提案に対しては、半数以上がNO。
自分が2ドルしか貰えないのに相手が8ドルは不公平だと感じ、
それなら相手への報復として、損を承知でどちらも1ドルも貰えない様にした。
という結果があるそうです。
悪意には2種類あり、8:2の割合を決めた方は、“支配的悪意”で、
自分が権利を持った時には自分に有利な不公平な決定をする事が多い。
それに対して、不公平に対する怒りや正義感で
どちらも貰えない様にした方は、“反支配的悪意”と言います。
そもそも日本人は、世界的にも“真面目で礼儀正しくて、優しくて親切”
なんていう評価をされていますが、アメリカのこの学者の統計によると、
世界中でも日本人がその反面、一番意地悪だと言うのです。
それはなぜかと言うと、同調圧力から来る正義中毒だと言うのです。
礼儀正しさというのは、誰もが平等な事が正義であるとするだけに、
その秩序を乱したりルールを守らない者を許さないという
内面的な反支配的悪意が強いそうです。
そう言われると、最近はSNSにその場を移し、
“何もそこまで言わんでも”とか、“お前が言う?”なんて、
びっくりする程の攻撃をし、匿名性であるだけに、リスクが少ない為、
より攻撃的に目立ちたいという承認欲求も助長されて、
誹謗中傷・炎上騒ぎなどというネットリンチが横行しています。
相手を叩き、引き摺り下ろす事で相対的に正しい自分の地位が、
上がったかの様に錯覚する“正義中毒”を招き易くなっています。
これは実はさっき言った反支配的悪意を装った支配的悪意に他なりません。
一方だけではなくダブルの悪意ですから、そりゃダメですよね。
昔から“人の不幸は蜜の味”なんて言いますが、
自分が礼儀正しいから・親切だから・優しいから、そうじゃないものを許さない
・叩くなんていう暴走する悪意とどう向き合って行くべきか、
これから人は試されて行くんでしょうね。
この学者さんの実験や論説を読んで、
“なるほどな、裏に隠れた反面というのがあるんやな”とつくづく感じました。
みなさんはどうですか?