2024年12月
私の恩思恵の基本の一つとして、金貨の4というカードがあります。
これは、一人の若者が大きな金貨を一枚頭に乗せ、胸にも一枚抱え、
そして広げた両足にも一枚ずつ踏み付けて、
“これは全部オレのもんや、絶対誰にもやらへん!”と執着している図柄です。
処が、この若者が立っている場所は砂の上、いつ波が来て攫われるか・
いつ風が吹いて足元が崩れるかは分かりません。
ここまで言えば、もう言わんとする事は判りますよね?
世の中に、物事に、“絶対に・必ず・ずっと・永遠に”なんてない。
いつどうなるかなんて分からないんですよ。
という、ある意味、不確実である事の“真実・事実・現実”を伝えています。
これは西洋のタロットカードですが、洋の東西を問わず、
仏教を始めとする東洋思想の中にも諸行無常、
“驕れるものは久しからず、ひとえに風の前の塵に同じ”という教えがあり、
又、鎌倉時代の鴨長明の方丈記でも、
“行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず”と、
そこを流れている川の水でさえ、常に姿は変わっていると、
世の無常、常あらずの思想・考え方を説いています。
今年も地震・豪雨・灼熱etcの天災や、国内外での様々な政変。戦火の拡大。
逆にもっと身近な所で言えば、急速な抗いようのないデジタル・IT化。
そして、米の価格を始めとする生活の全てに渡っての異様な物価高・インフレ等。
本当に“前はこうだったのに”は一切通じない、
世の無常・常あらずに拍車が掛かりました。
私たち一人一人なんて、ほんの木の葉の一枚の様なものではあるけれど、
そんな中でも只流されてしまわずに、其々のしっかりとした判断で、
自分の眼で見て、自分の耳で聴いて、自分の鼻で匂いを嗅ぎ分け、
自分の口で自分の言葉で伝える。
そしてトータルして自分の心で感じ、自分の頭で考えて、
ちゃんと納得の行く答えを出せる様にありたいものです。
最後の頼みの綱は、誰が何と言おうと、いつだって自分自身なんですよ。
来る年が希望の持てる無常(変化)である事を願います。
今年も一年ありがとうございました。