2011年 2月
その昔
おかんに先に逝かれて、落ち込んだ親父が
“わし後何年生きられんねやろ”と
心細げに何遍も言うので
“アホか!気が悪い事ばっかり言うて
其れをマイナス思考言うんじゃ!”と
まだ若かった僕は 偉そうに説教した
すると親父は“まだ若いお前らぁにはわからへん”
と寂しげに目を伏せた
地震の後 怖がる親父を 疎ましがった
今 僕は五十五歳になった
考えてみれば 半世紀以上も生きている
そんな僕が 叱った親父と 今 同じ事を考えている
“たった後15年で七十や
親父は 其の歳で死んだんやな
もし其れで 生きとる事にバイバイせなあかんねやったら
何て人の一生って短いねんやろ
人生て 儚いもんやな・・・”と
誰もがみんな まだまだ若いつもりで
其れが来るのは 先の事やと考える
死んだ親父の気持ちを判らんかった 僕もそうやった
時間や 時の流れというのは 永遠ではなく
一人一人にとっては 限りがある
そやからこそ 後ろを振り返るんではなく 先を憂えず
今を 慈しんで 愛おしんで
生きなあかんと思う
今ある倖せを積み重ねて行った先に
未来があるんやから
其れが いつかは 判らへんけど
其の時にも 倖せであるために
今日が“生きてる僕の 一番若い日”
なんやから