2017年 5月
最近、“マインドフルネス”と言う簡単な椅子に座って行う座禅・瞑想が、
アメリカですごく流行っているそうです。
私は何十年も前から時に応じて、“一日一度は静かに座って身体と心と呼吸を整えましょう”
という禅の教えを元に、皆さんに正しくこれを実行してもらっています。
そしてお坊さんが心身の浄化の為に身体に塗る“塗香(ずこう)”を用いて、
伽羅・白檀・肉桂などの香りを嗅ぎながら、ピンと背筋を伸ばし、肩の力は抜いて
3分ほど眼を閉じてゆっくりと大きな呼吸を繰り返す。という心身のリセット行為をです。
“上虚下実”と言って、頭で考えるものではなく、身体に従う。
身体が発する声に耳を傾ける事によって、凝り固まった頭を休め、解き放ちなさい
という事です。
その際に、身体が歪んで居ては筋肉に負担が掛かります。
改めて“歪み”という字を見てみると、面白いもので正しく無いという字なんですね。
坐骨の上にバランス良く背骨が乗る。前後でもなく左右でも無い。
そうすると、心が落ち着いて来て、同時に呼吸も自然と定まって行くのです。
“心身一如”といって心と身体は切り離せないものですが、
仏教の基本の教えに“唯識”というのが在り、人は唯心在るのみで、
(一人一宇宙と言われる様に眼を閉じてしまえば、そこに見えるものは其々みな違うのです)
私たちが見ているのは其々の心の中の影像であり、
言い換えれば自分が見たい形を見ているのです。
そうなると、心の判断がいつも正しいとは限りません。
ですから、ノーコントロールの状態になる為に“三調”といって三つのものを調えるのです。
調身・・・背筋を伸ばして歪みを正す。
調心・・・執着心を捨てて、解放する。
そしてこの二つを繋ぐのが、
調息・・・ゆっくりと呼吸を整える。
こうして考えてみると、人が生きて行く上で呼吸というのは一番の基本です。
人は息をしなければ生きてはいけませんから、
あまりにも当たり前の事でそれを意識する事は普段の生活では無いでしょうが、
何かパニックになるとか、極度の緊張などのアクシデントに見舞われた時こそ、
改めてこのゆっくりとした深い呼吸が自分を元に戻してくれるのです。
でも別に何も無い時でもたった2〜3分の事であり、誰にでも簡単に出来る事ですから、
毎日の生活の中でも心掛ける様にしたいものです。
私がいつも言っております“NNFC(ニュートラル・ナチュラル・フラット・クリア)”な
心に成るという事ですからね。